子どもと親の関係は、良好なものばかりではありません。
お互いに対等な立場で接したり、友人のように距離感の近い関係もありますが、なかには親が子どもを見下すような態度を取り、普段から子どもを傷つけてしまっている場合もあります。
そこで今回は、子どもが親を上から目線だと感じてしまう理由や対処法についてご紹介します。
上から目線な親の例
上から目線な人に共通するのは「自分の考えを押し付けてくる」「態度が高圧的」「物事を自分基準で判断する」といった言動です。
職場の場合は、上司と部下の関係などで比較的イメージしやすいですが、これを親子関係に置き換えてみると少し違ってきます。
親には子どもを教育する責任があり、子どもにとって家庭とは、社会で生きていくうえで必要となる基礎的な能力や習慣をはぐくむ場所でなくてはいけません。
しかし「子どもを立派に育てる」という意識が強くなりすぎると、子どもの気持ちよりも親の常識や価値観の方が大事になり、無意識のうちに子どもに対して上から目線な態度を取っている場合があります。具体的には、次のような言動が例としてあげられます。
- 「〜しなさい」「〜したの?!」と強い命令口調を使う
- 「お前にできるわけがない」「そんなことも知らないのか」と見下すような物言いをする
- 子どもの話を聞かずに「お前は間違っている」と否定する
- 恩着せがましく「食わせてやっているのに」「育てた恩を忘れたのか」などと言う
こうした言葉を言われ続けた子どもは、多くの場合、自己肯定感の低い大人へと成長します。親が子どもに上から目線な態度をとることには何のメリットもないのです。
親が上から目線だと感じる理由
ここからは子ども側の視点で、親が上から目線と感じる3つの理由を解説します。
- 親の方が立場が上
- 反抗心がある
- 自分のプライドが高い
それぞれについて、詳しく解説します。
①親の方が立場が上
親自身が「親子には上下関係があり、親の方が立場が上だ」と考えている場合、親からの命令や押し付けが多くなるため、子どもにとっては上から目線な態度になっています。
アドラー心理学にもあるように、親と子は対等な関係であることが理想ですが、上下関係になってしまうと、良好な親子関係を築くことは非常に難しくなります。
②反抗心がある
反抗期などで子どもが親に対して反抗心を抱いている場合、子どもは親の言動に敏感に反応します。
普段は素直に聞き入れてくれるような言葉でも「親の言いなりにはならない」「すぐ口を出してきてうるさい」といった気持ちになりやすく、上から目線だと感じやすくなります。
③自分のプライドが高い
プライドの高い人は、自分が否定されることを嫌います。
これは子どもの場合も同じです。プライドの高い子どもにとって、親からの意見やアドバイスは「考えの押し付け」でしかありません。親は普段どおり接しているつもりでも、子どもにとっては上から目線な態度にしか見てもらえないことがあります。
自分の性格を振り返って、否定されるのが嫌・勝負事は負けたくない、といった気持ちが普段から強い場合は、自分のプライドの高さが大きく影響しているかもしれません。
親が上から目線だと感じた際の対処法
親が上から目線だと感じる場合、次の3つの対処法を試してみることをおすすめします。
- 受け流す
- 自分に問題がないか見つめなおす
- 頼れる人に相談する
自分ができそうなものから試してみると良いでしょう。
①受け流す
親の上から目線な言葉を素直に受け止め続けると、心の傷がどんどん増えていき、我慢しすぎた結果、心身ともに調子を崩してしまうなどの悪影響が出てきます。
基本的に「親は親、自分は自分」の精神で、自分が嫌な気持ちになる言葉はサラリと受け流してしまうことも必要です。
②自分に問題がないか見つめなおす
親が子どもに対して上から目線になるのは「子どものことが心配だから」という一面もあります。また反抗的な態度を取る子どもであれば、つい反射的に厳しい口調で接してしまうことも。
親に上から目線な態度を取らせているのは自分かもしれない、と一度振り返ってみると、自分の方にも改善するべきポイントが見つかるかもしれません。
親が悪いと頭から決めつけてしまわず、色々な視点から分析して掘り下げてみると良いでしょう。
③頼れる人に相談する
当事者同士での解決が難しい場合、頼れる人に相談するのも有効な方法です。
信頼できる友人や親戚でも良いですし、自治体によっては、臨床心理士などの専門家がカウンセリングしてくれる無料窓口もあります。
いずれも、第三者としての視点で的確なアドバイスをもらえるはずです。
親の性格に問題があるケースもある
子どもが親に対して「上から目線だ」という感情を抱くとき、親の性格そのものに問題があるケースも少なくありません。
特に、子どもを監視したり支配する「毒親」タイプの人は、子どもよりも自分が優先なので、自分の思うとおりに子どもをコントロールしようとします。
この場合、子どもが親を上から目線だと感じるのは当然のことで、子どもには何の非もありません。
性格は簡単に変えられるものではないため、このケースにおいては親から距離を置き、なるべく親の影響を受けにくい環境に身を置くことが有効な対策です。
親が上から目線に感じる原因を考えよう
人の行動には、必ず何らかの理由があると言われています。
親の態度が上から目線に感じるのも、親の性格や価値観が原因のこともあれば、子どもの性格などが原因となっていることもあります。
親の上から目線な態度に悩んでいる場合、普段からお互いの会話や行動を観察して原因を冷静に見つめ、まずは自分に合った効果的な対処法を検討してみましょう。